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障害者手帳とは?3種類のメリット・デメリットを支援員が解説

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「障害者手帳って、自分も取った方がいいのかな」
そう迷っている方は少なくありません。

診断を受けたばかりの方やご家族から、「メリットは気になるけど、デメリットもちゃんと知っておきたい」というご相談をよく受けます。

この記事では、障害者手帳の 3種類の違い・取得するメリット・知っておきたいデメリット・申請の流れ を、就労移行支援の現役支援員の視点で分かりやすく整理します。

「取るかどうか」で迷うときの判断のヒントも、最後にまとめました。手帳が自分や家族に「合うのか・合わないのか」を考える手がかりになるはずです。

今回の記事でわかること

  • 障害者手帳の3種類とそれぞれの違い
  • 取得すると受けられる5つのメリット
  • 現場で感じる「デメリット」のリアル
  • 申請から取得までの流れ
  • 取得を迷うときの判断軸

障害者手帳とは?3つの種類を知っておこう

障害者手帳には身体・療育・精神の3種類があり、対象となる障害によって取得する手帳が決まります。まずはそれぞれの違いを把握しておきましょう。

障害者手帳は、障害のある方が福祉サービスや各種支援を受けるための公的な証明書です。

種類によって対象となる障害・等級の区分・申請窓口が異なります。

障害者手帳3種類(身体・療育・精神)の対象・等級・更新を比較した図

身体障害者手帳

視覚・聴覚・肢体不自由・内部障害などの身体機能に障害のある方が対象です。等級は1級〜6級(最重度〜軽度)に分かれます。

  • 対象:視覚・聴覚・音声機能・肢体不自由・心臓や腎臓などの内部障害
  • 等級:1級(最重度)〜6級
  • 申請窓口:お住まいの市区町村の福祉課
  • 更新:原則として更新不要

身体機能の障害が永続的にある方が対象となるため、一時的なケガなどは含まれません。

療育手帳

知的障害のある方が対象の手帳です。自治体によって名称(「愛の手帳」「みどりの手帳」など)や等級表記が異なります。

  • 対象:知的発達に遅れがあり、児童相談所または知的障害者更生相談所で判定を受けた方
  • 等級:A(重度)/B(中度・軽度)など、自治体により表記が異なる
  • 申請窓口:児童相談所・知的障害者更生相談所
  • 更新:年齢区分ごとに再判定があるケースが多い

発達障害(ASD・ADHD等)の方は、原則として療育手帳ではなく次の精神障害者保健福祉手帳の対象です。ただし知的障害を伴う場合は療育手帳を取得できるケースもあります。

精神障害者保健福祉手帳

うつ病・統合失調症・発達障害・てんかんなど、精神疾患により日常生活や社会生活に制限のある方が対象です。

  • 対象:統合失調症・気分障害(うつ・双極性)・発達障害(ASD・ADHD等)・てんかん・高次脳機能障害など
  • 等級:1級〜3級
  • 申請窓口:市区町村の障害福祉課
  • 更新:2年ごとの更新が必要

初診から6ヶ月以上経過していることが申請の前提条件です。発達障害単独で診断された方も、この手帳の対象になります。

障害者手帳を取得する5つのメリット

手帳を取得すると、税金控除・公共交通機関の割引・医療費補助・障害者雇用枠での就職など、日常生活を支える複数の支援を受けられるようになります。

障害者手帳を取得する5つのメリットをまとめた図

① 税金の控除

所得税・住民税が一定額控除され、年間で数万円〜数十万円の負担減につながります。

具体的には、所得税で27万円〜40万円、住民税で26万円〜30万円が課税所得から差し引かれます(等級により金額が異なります)。

ご本人だけでなく、手帳を持つ方を扶養している家族の所得税・住民税も控除対象になる点は、ご家族にとって大きなポイントです。

② 公共交通機関の割引

JR・私鉄・バス・タクシー・航空各社で、本人または介助者を含めて運賃が50%程度割引になるケースがほとんどです。

通勤・通院で交通機関を頻繁に使う方は、年単位で数万円の節約になります。地域によってはバス・タクシー券が支給される自治体もあります。

③ 医療費・福祉サービスの助成

医療費の自己負担が軽減される「自立支援医療制度」や、各種福祉サービスとの併用がしやすくなります。

精神障害者保健福祉手帳をお持ちの場合、自立支援医療(精神通院)との併用で、精神科の通院費が原則1割負担に抑えられます。

④ 障害者雇用枠での就職

一般雇用とは別の「障害者雇用枠」で就職活動ができるようになり、配慮を受けながら働ける道が開きます。

障害者雇用は障害特性に応じた配慮(勤務時間・業務内容・通院の調整など)が受けやすく、長く働き続けるための選択肢として有効です。

⑤ 各種手当・年金との連動

障害年金や特別障害者手当など、他の支援制度の申請がスムーズになります。

手帳と障害年金は別制度ですが、診断書や医療情報を共有することで申請の負担が軽くなることがあります。

ポイント

5つのメリットすべてを使う必要はありません。「自分が使いそうなものが1〜2個あるか」を判断軸にすると、取得を検討しやすくなります。

取得前に知っておきたいデメリット・注意点

メリットが多い一方で、申請の手間・心理的なハードル・等級による支援の差といった現実的なデメリットもあります。事前に把握しておくと、取得後のギャップが少なくなります。

障害者手帳取得前に知っておきたいデメリット3点を示した図

申請の手間・時間がかかる

申請から交付まで1〜2ヶ月かかるのが一般的です。診断書の取得、書類記入、窓口提出、自治体での審査と複数のステップを踏む必要があります。

特に診断書は医師の作成に数週間かかることが多く、費用も自己負担で5,000〜10,000円程度です。

周囲への開示にためらいを感じる人もいる

手帳を持つこと自体に心理的な抵抗を感じる方は少なくありません。「障害がある」と公的に認定されることへの戸惑いは、自然な感情です。

ただし、手帳を持っていることは家族や職場に伝えなくても問題ありません。本人が必要な場面でのみ使う、というスタンスでも問題なく運用できます。

支援員

「手帳を持つと周りに知られるのでは」と心配される方は多いです。でも、いつ・誰に見せるかは全部自分で決められます。普段はしまっておいて大丈夫です。

等級によっては支援が限定的

等級が軽い場合、受けられる支援の幅が狭くなることがあります。

たとえば精神障害者保健福祉手帳3級では、所得税控除額が1級より少なくなります。等級は症状の重さで決まるため、本人が選べるものではありません。「思っていたより使えなかった」という印象を持つ方もいる点は知っておきたいところです。

申請から取得までの流れ(4ステップ)

申請は「医療機関で診断書を取得 → 窓口で申請 → 審査 → 交付」の4ステップです。事前に流れを把握しておくと、スムーズに進められます。

障害者手帳の申請から取得までの4ステップを示した図

ステップ① 医療機関で診断書を取得

通院中の医療機関の主治医に、手帳用の診断書を作成してもらいます。

  • 精神障害者保健福祉手帳:初診から6ヶ月以上経過していることが条件
  • 身体障害者手帳:指定医による診断が必要
  • 療育手帳:児童相談所・更生相談所での判定が必要

ステップ② 申請書類の準備

市区町村の障害福祉課で申請書を受け取り、必要事項を記入します。

準備する書類
  • 申請書(窓口で配布)
  • 診断書または判定書
  • 顔写真(縦4cm × 横3cm)
  • マイナンバー確認書類

ステップ③ 窓口で申請

書類が揃ったら、お住まいの市区町村の障害福祉課に提出します。郵送可能な自治体もあります。

ステップ④ 審査・交付

自治体での審査を経て、1〜2ヶ月程度で手帳が交付されます。交付通知が届いたら窓口で受け取ります。

最新の手続き・必要書類はお住まいの自治体公式サイトでご確認ください。
参考:厚生労働省「障害者手帳について」

支援員から見る|手帳取得を迷っている方によく伝えていること

「取るかどうか」で迷う方に、現場でよくお伝えしているのは「持っている=必ず使うわけではない」という事実です。選択肢を増やすカードとして考えると、判断しやすくなります。

支援員

手帳は「持っておくと選べるカードが増える」くらいに考えて大丈夫です。取ったからといって、何かを強制されるわけではありません。

支援の現場では、半数ほどの方はすでに手帳をお持ちですが、これから取得を検討する方からのご相談も少なくありません。多くの方が共通して悩んでいるのは、次のような点です。

  • 障害者と認定されることへの抵抗感
  • 家族や職場に知られないか
  • 取ったらどんな影響があるのか

これらの不安に対して、支援員としてお伝えしているポイントが3つあります。

① 「持っていても使わない」という選択ができる

手帳は取得しても、使うタイミングと相手は自分で選べます。職場や知人に開示する義務はなく、税控除や交通機関割引など、本人が必要なときだけ使えばOKです。

「取らずに困る」ことはあっても、「取って困る」と感じる方は少ない印象があります。

② 就労を考えるなら早めに動く方がスムーズ

就職や転職を考えている場合、手帳があることで障害者雇用という選択肢が増えます。就職活動は応募から内定まで時間がかかるため、就活開始時に手帳がある方が動きやすくなります。

③ 等級は症状の重さで決まる|「軽度だから取らない」は誤解

「自分は症状が軽いから手帳は無理」と思い込んでいる方もいますが、軽度でも手帳の対象になるケースは多くあります。判断は医師と自治体に任せて、まず申請してみる方が現実的でしょう。

支援員

「自分なんて軽いから対象外」と最初から諦めてしまう方をよく見かけます。対象になるかは医師と自治体が判断するので、まず主治医に相談してみるのがおすすめです。

あわせて読みたい

▼ 手帳で受けられる割引の具体例

障害者手帳で受けられる割引・減免まとめ

▼ 障害福祉サービスの全体像

障害福祉サービスの全体マップ

まとめ

障害者手帳は、取得することで生活・就労・経済面の支援を受けやすくなる公的な証明書です。

最後に、この記事のポイントを整理します。

  • 手帳は身体・療育・精神の3種類。対象となる障害で取得する手帳が決まる
  • 取得すると税控除・交通機関割引・医療費補助・障害者雇用・各種手当との連動など、5つの主要メリットがある
  • デメリットは申請の手間や心理的ハードル。ただし「持っている=必ず使う」ではない
  • 申請は4ステップで、1〜2ヶ月程度かかる
  • 迷ったときは、選択肢を増やすカードとして考えると判断しやすい

ご自身やご家族の状況に合うかどうか、まずはお住まいの自治体窓口や主治医に相談してみることから始めてみてください。

障害年金と混同しやすいポイントは、障害者手帳と障害年金の違いで整理しています。両制度の関係を確認したい方はあわせてご覧ください。

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※本記事は2026年5月時点の情報です。制度は改正される可能性があるため、最新の情報は厚生労働省や自治体公式サイトでご確認ください。

※執筆:ふくしのとびら編集部(就労移行支援・自立訓練事業所 現役支援員)

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