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ペアレントトレーニングとは?効果・受けられる場所を支援員が解説

ペアレントトレーニングとはのアイキャッチ画像(PC版)。親が学ぶ子どもへの関わり方を支援員がやさしく解説。

「叱ってばかりで疲れてしまった」「うちの子に合った関わり方が分からない」——発達障害のお子さんを育てるご家族から、現場で本当によくいただくお声です。

そんなときに役立つのが、ペアレントトレーニング(ペアトレ)です。親が子どもへの関わり方を学ぶプログラムで、療育とセットで活用されることが増えています。

この記事では、ペアトレの基本、療育との違い、学ぶ4つのスキル、効果、受けられる場所までを、現役の支援員がやさしく解説します。

筆者は就労移行支援・自立訓練事業所で、日々ご家族の相談を受けている現役の支援員です。「親の頑張り」ではなく「親への支援」としてのペアトレを、現場の視点でお伝えします。

※本記事は 2026年6月時点 の情報です。プログラムや受講条件は地域・施設で異なる場合があるため、最新情報は自治体の窓口でご確認ください。

今回の記事でわかること

  • ペアトレは「親が子どもへの関わり方を学ぶ」プログラム
  • 療育(=子が受ける)とは役割が違い、併用すると効果が大きい
  • 学ぶのは「褒め方・指示の出し方・無視・リミットセッティング」の4スキル
  • 効果は3〜6ヶ月単位でじわじわ現れる(即効性は期待しない)
  • 受けられる場所は自治体・医療機関・児発センター・民間・オンラインの5系統
  1. ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?まず基本を押さえる
    1. 「親が変わる」ではなく「選べる関わり方を増やす」
    2. 対象になるのは未就学〜小学校低学年の保護者が中心
  2. 療育との違い|「子が受ける」と「親が学ぶ」の関係
    1. 療育=子どもへの直接支援
    2. ペアトレ=親への支援を通じて子の変化を促す
    3. 両方を併用すると効果が大きくなる
  3. ペアトレで学ぶ4つの基本スキル
    1. スキル① 褒め方|できているところに気づく目を養う
    2. スキル② 指示の出し方|伝わる伝え方を身につける
    3. スキル③ 無視(計画的無視)の使い方|望まない行動を減らす
    4. スキル④ リミットセッティング|安全な枠を整える
  4. 期待できる効果と「すぐには出ない」現実
    1. 効果が見えるまで3〜6ヶ月単位で考える
    2. 効果を感じにくいときの考え方
  5. 受けられる場所|5つの選択肢
    1. まずは自治体の保健センターへ相談を
    2. 共働き家庭はオンラインプログラムも選択肢
  6. 受講前に知っておきたい3つのこと
    1. 標準的な期間は全6〜10回・数ヶ月
    2. グループ形式か個別形式かを確認
    3. 夫婦のどちらかでも受けられるが、両親参加が理想
  7. 支援員視点|ペアトレを活かすために大切にしたい3つの姿勢
    1. 姿勢① 学んだスキルは「正解」ではなく「選択肢」
    2. 姿勢② 完璧にやろうとしない
    3. 姿勢③ 一人で抱えず、療育・相談支援とつなげて使う
  8. まとめ
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ペアレントトレーニング(ペアトレ)とは?まず基本を押さえる

ペアトレは、発達障害や行動の困りごとがあるお子さんの保護者向けに、「子どもへの関わり方」を学ぶプログラムです。

1960年代のアメリカで生まれ、応用行動分析(ABA)の考え方をベースにしています。日本では精研式や肥前式といった国内向けプログラムが普及しており、いまでは多くの自治体・医療機関で実施されています。

「親が変わる」ではなく「選べる関わり方を増やす」

ペアトレは「親のやり方が悪いから直す」ものではありません。

これまでの関わり方に、新しい選択肢を加えるのがペアトレです。「叱る」しかなかった場面で「待つ」「具体的に伝える」といった引き出しが増えていきます。

対象になるのは未就学〜小学校低学年の保護者が中心

多くのプログラムは、未就学〜小学校低学年のお子さんの保護者を対象としています。思春期向けの応用プログラムもあります。

診断の有無は問わない場合が多く、「気になる行動がある」段階から受けられるプログラムも増えています。

支援員

「親が頑張らなきゃ」って気負わなくていいんです。ペアトレは「親への支援」の場。一人で抱え込まずに、専門家と一緒に整えていきましょう。

療育との違い|「子が受ける」と「親が学ぶ」の関係

「療育と何が違うの?」というご質問は、本当によくいただきます。役割が違うので、整理しておきましょう。

療育 ペアトレ
受ける人 子ども 保護者
場所 事業所・センター 自治体・医療機関ほか
内容 遊び・集団・個別の支援 関わり方のトレーニング
頻度 週1〜数日 隔週・全6〜10回
目的 子の発達特性に合わせた支援 親の関わり方の引き出しを増やす

療育=子どもへの直接支援

療育は、お子さん自身が事業所などに通って、発達特性に合わせた支援を直接受けます。日常生活の困りごとを少しずつ軽くしていくのが狙いです。

ペアトレ=親への支援を通じて子の変化を促す

一方ペアトレは、保護者が学んだスキルを家庭で実践することで、お子さんの行動の変化につなげます。直接子に介入するのではなく、家庭環境ごと整えるアプローチです。

両方を併用すると効果が大きくなる

療育とペアトレは対立するものではありません。むしろセットで使うと相乗効果が出やすいと言われています。

事業所での療育内容を家庭でも続けやすくなり、お子さんも「家と療育で言われることがバラバラ」という混乱が減ります。

ポイント

「療育に通っているからペアトレは不要」と思いがちですが、実は逆です。療育で学んだことを家庭で活かす土台として、ペアトレは大きな助けになります。

ペアトレで学ぶ4つの基本スキル

多くのペアトレで共通して扱われるのが、次の4つのスキルです。「正解」ではなく「選べる引き出し」として身につけていきます。

ペアレントトレーニングで学ぶ4つの基本スキル(ほめる・つたえる・あえて反応しない・わくを整える)の図解
ペアトレ4つの基本スキルの全体像

スキル① 褒め方|できているところに気づく目を養う

日々接していると、できていない部分にばかり目がいきがちです。ペアトレでは「当たり前にできていること」に気づく訓練をします。「靴を自分で履けた」など、見過ごしがちな行動を意識的に言葉にしていきます。

スキル② 指示の出し方|伝わる伝え方を身につける

「ちゃんとしなさい」では伝わりにくいものです。ペアトレでは 短く・具体的に・1つずつ 伝える練習をします。「おもちゃを箱に入れてね」のように、行動が分かる形に変えていきます。

スキル③ 無視(計画的無視)の使い方|望まない行動を減らす

注意を引くための行動(駄々をこねる等)に対して、あえて反応しないことで減らすテクニックです。放置ではなく、使う場面・使わない場面の見極めも学びます。安全に関わる行動は必ず止める前提です。

スキル④ リミットセッティング|安全な枠を整える

「やっていいこと/いけないこと」の枠を、お子さんに分かる形で整えます。叱るときは 短く・行動だけを 伝える、人格を否定しない、といったコツも学びます。「ダメな子」ではなく「その行動はダメ」と分けて伝える練習です。

支援員

4つのスキル、すぐ全部できなくて全然OK。1つずつ、できる日とそうじゃない日があっていい。それを一緒に振り返るのがペアトレの場です。

期待できる効果と「すぐには出ない」現実

ペアトレで期待できる主な効果は、次の2つです。

  • お子さんの行動の変化(望ましい行動が増える・困りごとが減る)
  • 親自身のストレス軽減(関わり方の選択肢が増えて気持ちが楽になる)

効果が見えるまで3〜6ヶ月単位で考える

ペアトレは即効性のあるものではありません。3〜6ヶ月単位で、じわじわと変化を見ていく取り組みです。

1週間や2週間で「変わらない」と判断するのは早すぎます。受講中だけでなく、修了後に効果が定着していくケースも多いです。

効果を感じにくいときの考え方

「やっているのに変わらない」と感じる時期は、誰にでも訪れます。そんなときは、子の変化より親の変化に目を向けてみてください。

「以前なら怒鳴っていた場面で、深呼吸できた」——そんな小さな変化も、ペアトレの効果です。

支援員

効果を感じにくい時期があるのは、自然なこと。そんな時は、子どもの変化より「自分のちょっとした変化」に目を向けてみてください。

ペアトレは「魔法」ではありません。お子さんの特性や年齢、家庭環境によって効果の現れ方は異なります。効果を感じにくいときは、無理に続けるより、相談支援専門員や主治医に相談してみてください。

受けられる場所|5つの選択肢

ペアトレが受けられる場所は、大きく5系統あります。

場所 特徴 費用感
① 自治体(保健センター等) 無料〜安価。地域差あり 無料〜数千円
② 医療機関 児童精神科などで実施 保険適用範囲
③ 児童発達支援センター 療育とセットで受けやすい 受給者証で利用
④ 民間事業所・親の会 地域差大きい・選択肢多 1回 3,000〜10,000円
⑤ オンラインプログラム 時間が取りにくい家庭向け 無料〜有料さまざま

まずは自治体の保健センターへ相談を

「どこで受ければいいか分からない」場合、最初の相談先としておすすめなのが自治体の保健センターや発達支援課です。

無料・低額の受講枠を案内してくれたり、近隣の医療機関を紹介してくれたりします。

共働き家庭はオンラインプログラムも選択肢

平日昼間の通所が難しいご家庭は、オンラインプログラムを活用するのも一つの方法です。

動画教材+オンライン面談で進めるタイプや、アプリで日々の関わりを記録するタイプなど、形式はさまざまです。

受講前に知っておきたい3つのこと

申し込み前に確認しておくと安心なポイントを、3つお伝えします。

標準的な期間は全6〜10回・数ヶ月

多くのプログラムは、全6〜10回・隔週・1回90〜120分という構成です。トータルで2〜4ヶ月かかると考えてください。

グループ形式か個別形式かを確認

4〜8組の保護者が集まるグループ形式と、講師と保護者の個別形式があります。

グループは「同じ悩みを持つ親同士の交流」が強みで、個別は「家庭の事情に合わせた進め方」がしやすいです。

夫婦のどちらかでも受けられるが、両親参加が理想

ご夫婦のどちらか1人の受講でも構いません。ただし、家庭で関わり方を統一しやすくなるため、将来を見据えた家庭の整え方としては両親で受けるのが理想です。

支援員視点|ペアトレを活かすために大切にしたい3つの姿勢

最後に、現場で見えてきた「ペアトレを活かせている親」に共通する姿勢を3つお伝えします。

姿勢① 学んだスキルは「正解」ではなく「選択肢」

ペアトレで学ぶスキルは「これが正解」ではありません。お子さんごと、場面ごとに合うやり方は違います。

引き出しを増やす感覚で受講し、家庭で試しながら自分なりに調整していくのが上手な使い方です。

姿勢② 完璧にやろうとしない

「学んだ通りにやらなきゃ」と気負うと続きません。できる日とできない日があって当たり前です。

うまくいかなかった日があっても、責めずに「また明日」と切り替えるのもペアトレで大事な姿勢です。

姿勢③ 一人で抱えず、療育・相談支援とつなげて使う

ペアトレ単独で完結させるより、療育・相談支援専門員・主治医とつないで使うほうが効果が出やすいです。

「学んだことを家庭で実践→次回の面談で振り返り→相談支援とも共有」というサイクルを作ると、無理なく続けられます。

支援員

ペアトレは「親の頑張り」じゃなくて「親への支援」なんです。一人で抱え込まずに、療育や相談支援の専門家と一緒に進めていきましょう。

まとめ

  • ペアトレは親が「子どもへの関わり方の選択肢」を学ぶプログラム
  • 療育(子が受ける)とペアトレ(親が学ぶ)は役割が違い、併用が効果大
  • 学ぶのは「褒め方・指示・無視・リミットセッティング」の4スキル
  • 効果は3〜6ヶ月単位で見る。即効性は期待しない
  • 受講先は自治体・医療機関・児発センター・民間・オンラインの5系統

「叱ってばかりで疲れた」「もっと良い関わり方があるはず」と感じているなら、ペアトレは大きな助けになる可能性があります。一人で抱え込まず、専門家と一緒に整えていきましょう。

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※本記事は 2026年6月時点 の情報です。プログラムや受講条件は地域・施設で異なる場合があるため、最新の情報は自治体の窓口や公式サイトでご確認ください。

※執筆:ふくしのとびら編集部(就労移行支援・自立訓練事業所 現役支援員)

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