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合理的配慮とは?職場での具体例と頼み方を支援員がやさしく解説

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「合理的配慮」という言葉、最近よく耳にしませんか。

でも実際に「自分の職場でどんな配慮を頼めるのか」「どう伝えればいいのか」がわからず、結局そのまま我慢して働いている方は少なくありません。

職場の合理的配慮は、2016年から法律で事業主の義務になっています。

「会社にお願いするのは申し訳ない」と感じる方も多いかもしれませんが、法律で認められた権利として、堂々と相談していいものです。

この記事では、職場で受けられる合理的配慮の具体例をたっぷり紹介します。

そのうえで、現役の支援員が「申請の伝え方のコツ」「断られたときの対処法」までやさしく解説します。

在職中の方も就活中の方も、自分の働き方を整えるヒントとして読んでください。

今回の記事でわかること

  • 合理的配慮は障害者雇用・一般雇用どちらでも受けられる権利
  • 職場の配慮は2016年から事業主の「義務」(努力義務ではない)
  • 職場での具体例は通勤・業務指示・環境・体調管理など多岐に
  • 伝え方のコツは「困っていること+希望する配慮」をセットで
  • 断られたら社内→障害者就業・生活支援センター→労働局の3段階で相談
  1. 合理的配慮とは?基本を押さえる
    1. 「特別扱い」をお願いすることになる?
    2. どの法律で決まっている?
    3. 「2024年から義務化」と聞いたけれど、職場は?
    4. 「不当な差別的取扱い」とどう違う?
  2. 職場で受けられる合理的配慮の具体例
    1. 通勤・勤務時間に関する配慮
    2. 業務指示・コミュニケーションに関する配慮
    3. 職場環境・設備に関する配慮
    4. 体調管理・休憩に関する配慮
    5. 自分の障害では、どんな例がある?
  3. そもそも、どんな人が対象になる?
    1. 障害者手帳がなくても対象
    2. 障害者雇用・一般雇用どちらでも受けられる
    3. オープン就労・クローズ就労との関係
  4. 支援員視点|申請の伝え方のコツ
    1. 「困っていること」と「希望する配慮」をセットで伝える
    2. タイミング|面接時と入社後、どちらがいい?
    3. 主治医の意見書・支援機関の同席を活用する
    4. 一度に全部伝えなくていい|少しずつ増やしていく
  5. 配慮が不十分/断られたときの対処(3段階)
    1. 段階① 社内で再協議
    2. 段階② 障害者就業・生活支援センターに相談
    3. 段階③ 都道府県労働局 雇用環境・均等室へ相談
  6. 会社は断れる?|「義務」の範囲と限界
    1. 「過重な負担」がない範囲という限定
    2. 違反したらどうなる?|罰則ではなく行政指導
  7. 支援員から見る|配慮を活かす働き方
    1. 「配慮されてばかり」と感じてしまう方へ
    2. 配慮を活かして長く働くための小さな工夫
    3. 配慮内容は定期的に見直していい
  8. まとめ
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合理的配慮とは?基本を押さえる

「特別扱い」をお願いすることになる?

合理的配慮とは、障害のある方が他の方と対等に働く・生活するうえで、社会の中にあるさまざまな障壁を取り除くための調整や工夫のことです。

「特別扱い」ではなく、「他の方と同じスタートラインに立つための調整」とイメージしてください。

どの法律で決まっている?

働く場面の合理的配慮は、障害者雇用促進法で定められています。2016年4月から、会社の規模を問わずすべての事業主の義務です。

もうひとつの障害者差別解消法は、お店や交通機関などサービスを利用する場面のルールです。

職場のことは雇用促進法、生活の場面は差別解消法、と分けて押さえておくと混乱しません。

「2024年から義務化」と聞いたけれど、職場は?

「2024年4月から合理的配慮が義務化」というニュースを見た方も多いはずです。

あれは差別解消法の改正=お店やサービスの場面の話で、職場は含まれていません。

職場の配慮はそれより前、2016年からすでに義務です。

「まだ努力義務なのでは」という会社側の誤解に出会ったら、そうではないと伝えて大丈夫です。

「不当な差別的取扱い」とどう違う?

合理的配慮とセットで出てくる言葉に「不当な差別的取扱いの禁止」があります。

障害を理由に採用を拒否する、賃金を低くする、契約を打ち切る——こうした扱いは話し合いの余地なく、そもそも禁止です。

一方の合理的配慮は、会社と本人が話し合って決める調整です。

希望が通らないことは差別ではありませんが、話し合いにすら応じてもらえない場合は、義務に反している可能性があります。

職場で受けられる合理的配慮の具体例

ここからは、実際に職場で多く見られる合理的配慮の例を、テーマ別にご紹介します。

「こんなことも頼んでいいんだ」と思える例がきっと見つかるはずです。

職場の合理的配慮の具体例4場面(通勤・勤務時間/業務指示・伝え方/職場環境・設備/体調管理・休憩)

通勤・勤務時間に関する配慮

  • 通勤ラッシュを避けた時差出勤
  • 週の労働時間の調整(短時間勤務からスタートして段階的に伸ばす)
  • 在宅勤務・テレワークの活用
  • 通院日に有給休暇とは別の配慮休暇を設定する

業務指示・コミュニケーションに関する配慮

  • 口頭ではなく文書やチャットでの指示
  • 指示は一度に1つずつ・優先順位を明示してもらう
  • 定期的な1on1で困りごとを早めにキャッチしてもらう
  • 職場内の関係者にあらかじめ障害特性を共有しておく(ご本人の了解のうえ)

職場環境・設備に関する配慮

  • 座席を静かな場所・パーティション席に変える
  • 照明の調整(蛍光灯のちらつきが負担になる方など)
  • 拡大画面・読み上げソフト・補聴器対応システムの導入
  • 手すり・スロープ・多機能トイレなど物理的環境の整備

体調管理・休憩に関する配慮

  • 体調に合わせた休憩の取り方(短時間こまめに、別室で休む など)
  • 服薬時間の確保
  • 体調不良時の早退・遅刻への柔軟な対応
  • 自立支援医療などの通院に必要な時間の確保

自分の障害では、どんな例がある?

障害種別 よくある配慮の例
精神障害(うつ病・双極性障害・適応障害など) 体調の波に合わせた業務量の調整・通院や服薬への理解・静かに休める場所の確保
発達障害(ASD・ADHDなど) 指示の文書化・優先順位の明確化・イヤーマフ等の感覚刺激への配慮・予定の見える化
身体障害(肢体不自由) バリアフリー・補助具・移動経路や机まわりの調整
聴覚障害 筆談・チャットでの指示・会議の文字支援
視覚障害 音声読み上げソフト・資料のデータ提供・拡大表示
知的障害 業務の細分化・口頭+実演による説明
高次脳機能障害 メモ・チェックリストの活用・指示は一度に一つずつ
難病・内部障害 通院時間の確保・体調変動への理解・急な休みへの備え

より多くの実例は、厚生労働省の「障害者への合理的配慮好事例集」(令和7年9月版)で確認できます。

ポイント

「これくらい大丈夫」と我慢を重ねていると、ある日急に体調を崩してしまうことがあります。小さな困りごとほど早めに相談するのが、長く働き続けるコツです。

そもそも、どんな人が対象になる?

障害者手帳がなくても対象

合理的配慮は障害者手帳の有無を問いません。

手帳を持っていない方でも、障害により仕事上で困りごとがあれば配慮を求めることができます。

診断書や主治医の意見書があると、配慮内容を具体的に伝えやすくなります。

障害者雇用・一般雇用どちらでも受けられる

障害者雇用枠での就業はもちろん、一般雇用枠(クローズ就労含む)でも合理的配慮の対象です。

「障害者雇用じゃないから頼めない」というのは誤解で、雇用形態に関わらず権利として認められています。

オープン就労・クローズ就労との関係

障害を会社に開示しているオープン就労のほうが、当然ながら配慮は頼みやすくなります。

クローズ就労の場合は、配慮を頼む段階で開示する必要が出てくるため、誰に・どこまで・どう伝えるかを支援機関と相談しながら進めるのがおすすめです。

支援員視点|申請の伝え方のコツ

ふく田

「こんなことをお願いしたら迷惑では…」と切り出せない方を、現場でたくさん見てきました。配慮の相談は迷惑ではなく、お互いが働きやすくなるための打ち合わせです。

「言いたいことが伝わらない」「ただのわがままと思われそう」と悩む方は本当に多くいらっしゃいます。

現場で実際にうまくいくパターンをお伝えします。

合理的配慮の上手な伝え方の4ステップ(困りごとと希望をセットで/タイミングを選ぶ/支援者に同席してもらう/少しずつ増やしていく)

「困っていること」と「希望する配慮」をセットで伝える

「集中力が続かないので困っています」だけでは、相手も対応のしようがありません。

「集中力が続かないので、午前と午後に5分ずつ別室で休憩させてください」

このように、困りごとと希望する配慮を必ずセットで伝えてください。これが伝え方の鉄則です。

タイミング|面接時と入社後、どちらがいい?

就活段階なら、面接時に「こういう配慮があると力を発揮しやすい」と前向きに伝えるのがおすすめです。

入社後でも構いません。

働き始めてから新たに困りごとが見えてきた場合は、人事担当者や上司との1on1のタイミングで切り出しましょう。

面接で配慮をどう伝えるか不安な方は、障害者雇用の面接対策で質問例と答え方を確認しておくとよいでしょう。

主治医の意見書・支援機関の同席を活用する

自分一人で伝えるのが難しい場合は、主治医に意見書を書いてもらう方法があります。

就労移行支援事業所や障害者就業・生活支援センターの支援員に、面談へ同席してもらうのも心強い選択肢です。

第三者の専門的な視点があると、会社側も納得しやすくなります。

一度に全部伝えなくていい|少しずつ増やしていく

最初から10個の配慮を求めると、相手も身構えてしまいます。

まずは「これだけは譲れない」という1〜2個から相談し、関係性ができたところで少しずつ追加する、という進め方が現場ではうまくいきます。

ポイント

配慮内容は「最初に決めて終わり」ではなく、働きながら少しずつ調整していくものです。半年に一度の見直し面談を依頼するのも、長く働くうえで有効です。

配慮が不十分/断られたときの対処(3段階)

「相談したけれど取り合ってもらえなかった」「形だけの対応で何も変わらない」というご相談も、現場ではよくあります。

そんなときは以下の3段階を順に試してください。

1社内で再協議(人事・上司・産業医)
2障害者就業・生活支援センターに相談
3都道府県労働局 雇用環境・均等室へ相談

段階① 社内で再協議

まずは社内で改めて協議の場を持ちましょう。

直属の上司だけでなく、人事担当者や産業医も同席してもらうと話が前に進みやすくなります。

「過重な負担」を理由に断られた場合は、代替案を一緒に検討するスタンスで臨んでください。

段階② 障害者就業・生活支援センターに相談

各都道府県に設置されている「障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ/就ぽつ)」は、職場との調整も含めて支援してくれる無料の窓口です。

第三者の立場から会社に働きかけてもらえることもあります。

段階③ 都道府県労働局 雇用環境・均等室へ相談

社内・支援センターを経ても解決しない場合は、各都道府県の労働局にある「雇用環境・均等室」が相談窓口です。

会社に対する助言・指導が行われる可能性があります。

配慮されないことを理由にいきなり退職を決めるのは避けてください。まずは相談ルートを試したうえで、それでも難しければ転職を検討する、という順番が結果的にご自身を守ります。

会社は断れる?|「義務」の範囲と限界

「過重な負担」がない範囲という限定

会社は、「過重な負担」となる対応までは求められません。「希望が必ずすべて通る」わけではないことは押さえておきましょう。

指針では、①事業活動への影響②実現のしやすさ③費用・負担④会社の規模⑤財務状況⑥公的支援の有無、の6つをもとに総合的に判断するとされています。

ふく田

「どこまでお願いしていいか」に迷ったら、要望の量より対話の質を意識してみてください。難しい場合に代替案を一緒に探してくれるかどうかが、良い職場のサインです。

違反したらどうなる?|罰則ではなく行政指導

直接的な罰則はありませんが、内閣府や厚生労働省の所管部署による助言・指導・勧告の対象になります。

詳しくは厚生労働省「障害者差別の禁止と合理的配慮の提供」のページもご覧ください。

支援員から見る|配慮を活かす働き方

「配慮されてばかり」と感じてしまう方へ

「自分だけ配慮されて申し訳ない」と感じる方は本当に多くいらっしゃいます。

でも、配慮はあなたが力を発揮するための調整であって、お情けではありません。

配慮があることで安定して働ける、つまり会社にとってもプラス、という関係です。

配慮を活かして長く働くための小さな工夫

配慮してもらった分、「ここは私が頑張れる場面」「この業務なら任せて大丈夫」と、自分の強みを職場に伝えていくと関係がより深まります。

一方通行ではない、対等な調整関係を意識してください。

配慮内容は定期的に見直していい

体調や業務内容が変われば、必要な配慮も変わります。半年〜1年に一度、必要なら見直しの面談をしてもらうのもおすすめです。

ふく田

配慮は「もらうもの」ではなく「使いこなすもの」。あなたが力を発揮できれば、会社にとってもプラスです。遠慮しすぎず、育てていきましょう。

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まとめ

職場の合理的配慮について、現場の感覚を交えて解説しました。最後に要点をおさらいします。

  • 合理的配慮は障害者手帳の有無を問わず、雇用形態に関わらず受けられる権利
  • 職場の配慮は2016年から事業主の義務(断る場合も話し合いが前提)
  • 具体例は通勤・業務指示・環境・体調管理など職場のあらゆる場面に
  • 伝え方は「困っていること+希望する配慮」をセットで・小さく始めて積み増す
  • 断られたら社内→障害者就業・生活支援センター→労働局の3段階で相談

配慮を求めることは「わがまま」ではありません。

法律で認められた、長く働き続けるための大事な権利です。

一人で抱え込まず、支援機関も頼ってください。

具体例の一次情報は内閣府「合理的配慮等具体例データ集」もあわせてご活用ください。

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※本記事は 2026年7月時点の情報です。制度は改正される可能性があるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

※執筆:ふくしのとびら編集部(就労移行支援・自立訓練事業所 現役支援員)

ふく田

この記事を書いた人

ふく田

一般企業の営業事務、フリーランス(Web制作)を経て、障害福祉の世界へ。現在は就労移行支援・自立訓練の現場で、一人ひとりの目標に寄り添い、就職や生活の安定に向けた支援を行っています。

一般企業と福祉の両方を経験した立場から、複雑で分かりづらい制度をできるだけかみ砕き、「こんな支援があったんだ」と新しい選択肢に出会える情報を発信しています。

記事は、厚生労働省など公的機関の一次情報を確認したうえで執筆しています。

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