「障害があるけれど、自分は障害年金の対象になるのだろうか」
「もらえるとしても、金額や手続きが複雑そうで踏み出せない」
そう感じていませんか。障害年金は仕組みがやや複雑で、最初の一歩で立ち止まる方は少なくありません。
この記事では、障害年金の 種類・受給条件・金額の目安・申請の流れ・現場でのつまずきポイント を、就労移行支援の現役支援員がやさしく整理します。
自分が対象になりうるのか、何から動けばいいのか。判断の手がかりが見つかります。
※本記事は 2026年5月時点 の情報です。金額や運用は年度ごとに改定されるため、最新情報は日本年金機構の公式情報もあわせてご確認ください。
- 障害年金は「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類
- 受給には「初診日」「保険料納付」「障害の程度」の3つの条件
- 金額の目安(2026年度概算)と等級ごとの違い
- 申請から決定までの5ステップ
- 支援員から見る「よく出る質問・つまずきやすい点」
障害年金とは?2種類の基本を知っておこう
障害年金は、病気やケガで日常生活や働くことに支障が出たときに、現役世代でも受け取れる公的年金です。
「年金」と聞くと高齢者向けの印象がありますが、20歳から65歳手前までの方も対象になります。
種類は大きく分けて2つあります。

障害基礎年金(国民年金)
初診日に 国民年金に加入していた方 や、20歳前に初診日がある方が対象です。
等級は1級・2級のみで、金額は等級ごとに一律。自営業・専業主婦(夫)・学生・無職の方などが該当します。
障害厚生年金(厚生年金)
初診日に 厚生年金に加入していた方(=会社員・公務員)が対象です。
1級・2級は障害基礎年金に上乗せされ、3級と障害手当金(一時金)は厚生年金独自の給付です。金額は加入期間と報酬で変動します。
「初診日」がカギになる理由
障害年金で最も重要なのが「初診日」です。初診日にどの年金制度に加入していたかによって、もらえる種類と金額が変わります。
「症状が出始めた日」ではなく「初めてその病気で医療機関にかかった日」を指す点に注意してください。
障害者手帳との違い(よく混同される)
障害者手帳と障害年金は、 まったく別の制度 です。
手帳は障害福祉サービスや税控除の根拠、年金は所得保障のための給付金。
等級基準も別物で、手帳の等級と年金の等級は連動しません。両方申請する必要があります。
手帳がなくても年金は申請できます。逆もまた然りです。どちらか片方しか持っていない方も多くいます。
詳しくは障害者手帳とは?3種類のメリット・デメリットもあわせてご覧ください。
受給できる3つの条件|自分が対象か確認する
障害年金を受け取るには、次の3つの条件をすべて満たす必要があります。

① 初診日の要件
初診日に、国民年金または厚生年金の被保険者であるか、20歳前であることが必要です。
初診日の特定 が、申請における最初の関門になります。
障害年金の相談で最初につまずきやすいのが、この初診日です。あいまいなまま進めると手続き全体が止まりやすいので、まずここから確認するのがおすすめです。
② 保険料納付要件
初診日の前々月までの被保険者期間のうち、3分の2以上の期間で保険料を納めていることが原則です。
特例として、初診日の前々月までの直近1年間に未納がなければ要件を満たします。
ここで未納がある方は、申請前に必ず年金事務所で記録を確認してください。
「払っていたつもり」「免除申請をしていた」など、記録の取り扱いが微妙なケースは少なくありません。
「年金はちゃんと払っていたつもり」という方は本当に多いです。申請の前に、年金事務所で記録だけでも確認しておくと安心です。
③ 障害の程度(等級認定)の要件
初診日から1年6ヶ月後の「障害認定日」の時点で、定められた障害等級に該当する状態であることが必要です。
- 障害基礎年金:1級または2級
- 障害厚生年金:1級・2級・3級
- 障害手当金(一時金):3級より軽度の一定の障害(厚生年金のみ)
等級は、複数の要素から総合的に判断されます。「日常生活がどのくらい制限されているか」「就労にどう影響しているか」などです。詳細は日本年金機構の障害認定基準をご確認ください。
3つの条件は すべて満たす必要 があります。1つでも欠けると申請できません。とくに②の保険料納付要件は事前確認が必須です。
いくらもらえる?金額の目安と等級
金額は等級と年金の種類で変わります。以下は2026年度(令和8年度)の値です。
令和8年4月分から、国民年金(基礎年金)が前年度比1.9%引き上げられました。
厚生年金(報酬比例部分)は2.0%の引き上げです。
年度ごとに改定されるため、最新は公式情報を確認してください。

障害基礎年金の金額(1級・2級)
- 1級:年額 1,059,125円(月額 88,260円)
- 2級:年額 847,300円(月額 70,608円)
加えて、18歳到達年度末までの子(または20歳未満で1・2級障害のある子)がいる場合、子の加算がつきます。
1人目・2人目は各 243,800円/年、3人目以降は各 81,300円/年です。
障害厚生年金の金額(1級・2級・3級)
報酬比例の計算式で決まるため、加入期間と給与水準により変わります。
- 1級:報酬比例分の1.25倍 + 障害基礎年金1級 + 配偶者加給
- 2級:報酬比例分 + 障害基礎年金2級 + 配偶者加給
- 3級:報酬比例分のみ(最低保証 年額 635,500円)
- 障害手当金:報酬比例分の約2年分の一時金
子の加算・配偶者加給
障害基礎年金には子の加算、障害厚生年金(1級・2級)には配偶者加給年金額(243,800円/年)がつきます。
家族構成によって受給額がかなり変わるので、自分のケースに当てはめて試算するのがおすすめです。
金額は年度ごとに改定されます。具体的な受給見込み額は、日本年金機構の公式ページまたは年金事務所での個別相談でご確認ください。
申請から受給までの流れ(5ステップ)
申請はご自身(または代理人)が市区町村役場の国民年金窓口、または年金事務所に提出して進めます。流れは大きく分けて5ステップです。
ステップ① 初診日の特定
カルテ・診察券・領収書・お薬手帳などから、初めて医療機関にかかった日を特定します。
複数の病院を転院している場合は、一番最初の医療機関が初診医療機関です。
ステップ② 受診状況等証明書の取得
初診の医療機関と現在の医療機関が違う場合、初診医療機関で「受診状況等証明書」を取得します。
カルテの保存期間は5年のため、初診から年数が経っていると取得できないケースもあります。
ステップ③ 診断書を医師に依頼
現在通院している医師に診断書を作成してもらいます。
障害認定日からおおむね3ヶ月以内の状態を書く「認定日請求」と、現時点の状態を書く「事後重症請求」があります。
ステップ④ 病歴・就労状況等申立書を書く
ご自身の言葉で、初診日から現在までの病歴・日常生活・就労状況を時系列で書きます。
日付や事実関係が診断書と矛盾しないよう、慎重に整理してください。
ステップ⑤ 窓口へ提出・審査・決定
書類一式を年金事務所か市区町村窓口に提出。審査期間はおおむね3〜4ヶ月です。
認定された場合は年金証書が届き、その後初回の振り込みが行われます。
制度や運用は年度で改定されます。書類の様式や添付書類の最新版は、日本年金機構の公式ページでご確認ください。
支援員から見る|障害年金でよく受ける質問とつまずきポイント
現場で多くいただくご質問のなかから、特に多い5つをまとめます。
① 「働きながらもらえますか?」
可能なケースが多いです。
ただし障害厚生年金3級は、労働制限の状況が等級判定に影響しやすい区分です。
特に精神障害の場合は「働き方・就労時間・配慮の有無」によって判断が変わります。フルタイムで配慮なく働けている状態だと、認定が難しい傾向です。
就労形態の悩みは障害者雇用と一般雇用の違いもあわせてご覧ください。
② 「手帳と年金は別ですか?」
別制度です。
手帳を持っていなくても年金を申請できますし、その逆もあります。
等級も別計算なので「手帳2級だから年金も2級」とは限りません。
③ 「初診日が思い出せません」
申請で 最も詰まりやすい ポイントです。
家族や知人の記憶、当時のカレンダー、お薬手帳など、思い当たるものを少しずつ集めましょう。
それでもわからない場合は、第三者証明や複数の状況証拠を組み合わせる方法もあります。
④ 「却下されたらどうすれば?」
審査請求 → 再審査請求 → 行政訴訟という3段階の救済手段があります。社労士に相談すると、書類の不足や立証のポイントを整理してもらえる場合があります。
⑤ 「相談先がわかりません」
年金事務所(無料相談)、市区町村役場、社労士(とくに障害年金専門)、支援員という選択肢があります。
最初は年金事務所で記録確認するところから始めるのがおすすめです。
ひとりで全部を抱え込まなくて大丈夫です。年金事務所や社労士、身近な支援員と、使える窓口を一つずつ整理していきましょう。
まとめ
障害年金は仕組みが複雑ですが、 2種類・3条件・5ステップ という骨格をつかめば全体像はそれほど難しくありません。
- 障害年金は「基礎」と「厚生」の2種類
- 受給には「初診日」「保険料納付」「障害の程度」の3条件
- 金額は等級と種類で変わる(年度ごとに改定)
- 申請は5ステップ。初診日の特定が最初の関門
- 迷ったら年金事務所・社労士・支援員に相談
ご自身の状況で対象になるかどうかは、お住まいの地域の年金事務所や、障害年金に詳しい社労士に個別にご相談ください。
障害者手帳と混同しやすいポイントは、障害者手帳と障害年金の違いで整理しています。両制度の関係を確認したい方はあわせてご覧ください。
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※本記事は2026年5月時点の情報です。制度は改正される可能性があるため、最新の情報は日本年金機構や厚生労働省の公式サイトでご確認ください。
※執筆:ふくしのとびら編集部(就労移行支援・自立訓練事業所 現役支援員)